日経ユニバーシティーコンソーシアム

社会変革のための不動産再生事業のあり方

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基調講演

不動産再生事業の必要性と課題

明海大学不動産学部長
林 亜夫氏

21世紀型社会を構成する有力な戦略的事業

林 亜夫氏

「失われた十年」が過ぎ、日本の景気がようやく回復、地価が上がり始めたのもつかの間、サブプライムローン問題や石油・原材料の値上げ、建築確認の遅れ、株価の低迷と、さまざまな問題が出てきた。

多くの課題に直面する中、21世紀型社会を構成する有力な戦略的事業として不動産再生事業に関心が集まっている。ここでは、原点に戻って幅広く社会的な意味で、再生事業とは何か、再生がなぜ社会変革に結びつくのか、そして事業の課題と方向性を考えていきたい。

不動産の再生とは、「すでに開発された土地、または既存の建造物に新しい価値、より大きな価値を創り出す営み」と定義できる。

再生事業の背景と必要性としては、(1)新しい時代環境への適応(2)都市の拡大・成長にともなう負の遺産の整理(3)「持続可能な開発」の社会的認識の高まり(4)政府の都市再生政策の推進(5)地方自治体の制度的・財政的疲弊(6)不動産事業の新しい活路とスキームの発展(7)原油・建築資材価格の長期的上昇傾向の7つが挙げられる。

不動産の再生がどのように社会変革に結びつくのかという点では、(1)新しい価値の創造(2)持続可能な発展(3)都市の多様性(4)技術革新(5)意識改革(6)ソーシャル・キャピタルの再生という6つの視点が考えられる。ソーシャル・キャピタルとはいわゆる社会資本ではなく、「社会関係資本」と訳され、「社会に存在する信頼、規範のネットワーク」を指している。

課題としては、まず事業としてどこで利益を出すかを明確にすることがポイントだ。その点は大規模な再開発より難しい。それには幅広いジャンルの再生事業の成功事例をつくり出すことが必要であり、小規模な事業であっても、異分野の専門家による多彩なコラボレーションが不可欠である。


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