今、若者たちへ-君に伝えたい私の経験-
今、若者たちへ−君に伝えたい私の経験−<広告企画>

君に伝えたい私の経験 

第3回 菊川剛・オリンパス社長

  • 更新日:2007-10-02

能力や資質以上に大切なのは「気概」
責任感と粘り強さ、幅広い見識も


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きくかわ・つよし 1963年慶応義塾大学法学部卒、64年オリンパス入社。87年宣伝部長、93年取締役、98年常務、2001年より現職

 かつて「石橋をたたいても渡らない」と言われたオリンパスで「スピード最優先」をモットーに、成長路線を軌道に乗せた菊川剛社長。常に希望どおりのコースを歩んだわけではないが、ど ういう環境でも誠実に業務をこなし、経験を自分の糧としている。そういうキャリアで培ったビジネスマン哲学は、若者にとっても参考になる部分が多い。

■回り道でも得るものはある
 最近は就職してもすぐ辞める若者が増えていますが、実は私も最初に就職した会社をすぐ辞めました。貿易の仕事をしたいと考えていたのですが、希望の総合商社には行けませんでした。そ こで大阪にある商社の子会社に就職しましたが、1年半後に、輸出関係の要員を募集していたオリンパスに転職しました。

 社会に出てからはずいぶん勉強しました。通信教育で商業英語を習ったり、街で外国人に英語で話しかけたり……。オリンパス入社後は、夜学の日米会話学校や大学のスペイン語講座に通いました。中 南米を担当したときは2カ月間に20カ国、30都市を回るという出張も経験しましたが、その時の勉強が生きました。
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営業で中南米を飛び回っていたころ


 労組委員長や宣伝部長も務めました。当初は回り道とも思えたキャリアですが、今ではそこから得たものも大きかったと考えています。労組委員長としては、考 え方の異なる幹部役員とも一緒に組合を引っ張るわけですから、歩調を合わせるために徹底的に話し合いました。根気と忍耐で人間的な信頼関係を築いたことが、いろいろな問題解決につながりました。

 宣伝部長を拝命した時は、営業が自分の天職と思っていましたから、少々落胆したことは事実です。しかしすぐに、オリンパスの本当の価値が世の中に認知されていないという課題が見えてきたので、社 長が内外の著名人と対談する「世界からの視点」という企業広告シリーズを展開しました。現在オリンパスはブランド戦略を重視する経営を推し進めていますが、スタートはその辺りにあります。

■至誠、天に通ず 誇り持ち働こう
 仕事をする上では、相手の立場を尊重し、誠実に仕事を進めることが一番大切だと思っています。若いころ、3つの代理店を1つに絞り込むためにサウジアラビアに出張したとき、代 理店からはずされる社長が怒って、ナイフを机に突き刺し脅かしてきたことがありました。しかし小売店になることのメリットを必死で説明し、相手のプライドを尊重して、最後には納得してもらいました。「至誠、天 に通ず」だと実感しました。

 社員に対しては、能力や資質も必要だが、それ以上に現状を打破する「気概」が大切だということを強調しています。それと、責任感や粘り強さも必要です。今 の若い人はあきらめが早すぎると感じています。

 ニューヨーク駐在時代、米国市場に一眼レフの廉価版を投入して大成功を収めました。高級機志向の開発部隊からは強い抵抗がありましたが、市場を知っている私たちの執念が経営トップを動かしたのです。 デジタルカメラへの進出も、先行メーカーに勝てないという消極論が支配する中で、プリント画質で勝負すれば負けないという判断を貫き、粘り強く役員を説得して、事業化にこぎつけました。その高画質戦略で、最 終的にデジタルカメラのトップメーカーへの仲間入りを果たしたのです。自分がこうだと思ったことは信念を持ってやり抜く気概を、若い人たちにもぜひ持ってもらいたい。

 社長になってからは、社員にいろいろな形でメッセージを発信しています。言いたいのは「なぜオリンパスは社会に存在しているのか。オリンパスの経営理念をよく分かって、日々の仕事に就いてほしい」と いうことです。最近は「ココロとカラダ、にんげんのぜんぶ オリンパス」をキャッチフレーズにしていますが、オリンパスは人々の健康で幸せな生活を実現する価値創造企業として社会に貢献している。そ のことに誇りを持って働いてほしいのです。

 最近の若い人で感心するのは、ものおじしないことです。これは非常に心強く思っています。

 最後に自分への反省を込めて言うことですが、学生時代はきちんと勉強した方がいいです。それも専門分野だけでなく幅広い見識・リベラルアーツが求められています。色 々な本をたくさん読んでほしいですね。