第12回 日経アニュアルリポートアウォード各賞決定最優秀賞にベネッセホールディングス

日経アニュアルリポートアウォード審査委員会(2次審査)の模様日経アニュアルリポートアウォード 審査委員会(2次審査)の模様

日本企業が発行するアニュアルリポート(年次報告書)の中で特に優れたものを表彰する
「第12回 日経アニュアルリポートアウォード」(協力=日本IR協議会)の審査がこのほど行われ、
今年度の最優秀賞にベネッセホールディングス、優秀賞にカプコンと三菱商事が選ばれた。

機関投資家90人以上が審査

 最近では、ウェブ上で財務情報を閲覧できる企業が多い。しかし、膨大な企業情報を1冊の本としてコンパクトに編集整理し、業況や成長戦略なども解説したアニュアルリポートの利便性は、情報過多の時代にあって、むしろその役割が増している。機関投資家や一般の個人投資家、さらには取引先や従業員なども含めたステークホルダーにとって、アニュアルリポートはその企業を知る有力な情報源、いわば企業の顔といってもよい存在だ。
 日本経済新聞社では1998年から「日経アニュアルリポートアウォード」を毎年実施し、その質的向上や普及を支援してきた。昨年から審査対象の基本を英文アニュアルリポートから日本語のアニュアルリポートに変更(日本語での発行がない場合は、英文アニュアルリポートを審査)。今回は79社の参加企業の中から審査の結果、最優秀賞にベネッセホールディングス(リポート作成時・ベネッセコーポレーション)、優秀賞にはカプコンと三菱商事が選出された。そしてエヌ・ティ・ティ・データ、オムロン、オリエンタルランド、コスモ石油、ソフトバンク、ツムラ、長瀬産業、パナソニック、日立金属、富士通、富士電機ホールディングス、丸紅の12社が入賞した。

多様化しつつ全体的なレベルはアップ

 本賞の1次審査では、投資信託会社や証券会社などから90人近いファンドマネジャー、アナリストらが参加。1社のアニュアルリポートにつき5人の審査員がトップメッセージの具体性など10項目にわたり採点(下欄の「審査項目」を参照)し、上位作品を絞り込んだ。続く2次審査では、フィデリティ・ジャパン・ホールディングス取締役副会長の蔵元康雄氏をはじめとする審査委員会が、最優秀賞・優秀賞を選んだ。
 今回の参加各社のアニュアルリポートは、バランスのとれた構成で完成度を非常に高めたものや、投資家にとっての分かりやすさに重点を置いたもの、自社の独創的カラーを前面に打ち出したもの、成長戦略にフォーカスしたものなど、リポートの方向性が昨年以上に多様化。審査委員会では、全体的なレベルがアップしているという評価とともに、何を最優秀賞の評価軸とするかなどについて熱の入った議論が続けられた。その結果、機関投資家、個人投資家を問わずに分かりやすく、バランスのとれたリポートであるとして、ベネッセホールディングスが最優秀賞となった。
 本賞の参加企業には、各審査の評価ポイントや改善点についてのコメント、全体平均に対する自社のポジショニングなどを分析した報告書が提供され、次年度以降のアニュアルリポート作成に役立てられる。この特集紙面では、受賞各社のリポートと審査コメント、1次・2次審査講評を紹介する。

審査項目

  1. トップマネジメントのメッセージ
    • トップの経営理念や今後の戦略についてのメッセージが明瞭(めいりょう)であり、投資家が重視するキーワードや指標を活用している。
  2. 事業環境の分析と経営戦略
    • 市場の競争環境の中で、優位性やビジネスモデルが明確に記載され、戦略全体の有効性が分かる。
  3. 経営計画と企業価値向上策
    • 将来の見通しや現計画について信頼性・説得力が感じられ、目標値の合理性などについても具体的に説明されている。
  4. 事業動向と各事業セグメントの説明
    • 製品・サービスごとの市場の成長性や各事業部門の強み・弱みが整理されており、各責任者のリーダーシップが感じられる。
  5. 財務諸表や主要経営指標の説明
    • 分かりやすい業績ハイライトやサマリーが記載され、経年別経営指標の開示など一貫性がある。
  6. 経営者による財務状況の説明・分析、財務リスクの開示、財務諸表および注記
    • 明解な論理構成で、必要な注記やリスク情報が十分に説明されている。
  7. コーポレートガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントについての説明
  8. 投資家の理解促進のための工夫
  9. アピール力や独創性
  10. 全体を通しての完成度